ビタミンちくわは、その名の通りビタミンを加えたちくわで、戦後の栄養不足期に生まれたロングセラーです。
マルタツ版とスギヨ版、2つのブランドが存在し、中でもスギヨ製は長野県の“ソウルフード”と称されるほど愛されています。
本記事では、マルタツのビタミンちくわについて詳しく解説し、後半では長野県での歴史的背景やスギヨによる製品進化&地域活動をご紹介します。
読めば、きっとちくわの見方が変わります!
マルタツ(丸辰)のビタミンちくわとは?
ビタミンちくわは、戦後の日本で栄養不足を補うために開発されたちくわです。
マルタツ(丸辰)は、かつてこのビタミンちくわを製造していたことで知られています。
マルタツとはどこのメーカー?
マルタツ(丸辰)は、かつて北陸地方を拠点にしていた水産練り製品メーカーです。
ちくわやかまぼこなどの定番商品を手がけ、地域密着型の展開で知られていました。
「マルタツのちくわ」として長年親しまれ、スーパーや商店の常連商品でした。
「ビタミンちくわ」ブランドの位置付け
マルタツ版のビタミンちくわは、栄養強化食品として一時代を築きました。
当初はサメの肝油を原料にビタミンA・Dを配合し、健康志向の商品として注目されました。
“ビタちく”の愛称で親しまれ、地元住民の生活に根付いていました。
昔のCMや歌の印象(懐かしのフレーズ)
昭和の時代には、「ビタミンちくわ〜マルタツ〜♪」というフレーズのCMソングが放映されていました。
このCMは地域密着で、特に北信越地方では耳に残るメロディとして有名です。
一度聞いたら忘れられないフレーズとして、懐かしさを感じる人も多いようです。
現行商品のラインナップと違い
現在、マルタツとしてのビタミンちくわは市場にはほとんど出回っていません。
一方で、スギヨ製のビタミンちくわが広く流通しており、現代版として引き継がれています。
味や食感、栄養強化の内容にも改良が加えられている点が特徴です。
市場でのシェアや地域別人気
マルタツ版はかつて新潟・富山・長野などを中心に高い人気を誇りました。
特に長野では、学校給食や家庭料理に使われることが多く、消費量の多さでも知られていました。
現在はスギヨ製がその流れを汲み、同地域での流通を継続しています。
マルタツ版とスギヨ版との違い
大きな違いは、栄養配合と製造スタイルの進化にあります。
マルタツ版はやや硬めの食感と魚の風味が強めだったのに対し、スギヨ製はふんわりとした口当たりです。
また、ボリュームアップやキャラクター戦略など、現代ニーズに合った工夫も見られます。
ビタミンちくわが誕生した背景と歴史
ビタミンちくわは、戦後の日本で深刻な栄養不足を補うために誕生した製品です。
「サメ肝油」に含まれるビタミンAやDを活かした、健康志向の食品として注目されました。
戦後の栄養不足とサメ肝油の利用
戦後間もない日本では、食料や栄養が大きく不足していました。
その中で、手軽に栄養を摂れる商品として登場したのが、ビタミンちくわです。
特にサメ肝油に含まれるビタミン成分が着目され、練り製品に配合されました。
1952年「ビタミンちくわ」初登場秘話
ビタミンちくわが初めて登場したのは1952年です。
栄養機能を高めたちくわとして話題を呼び、各地の食卓に広まりました。
特に給食や業務用としての需要が高く、急速に流通が広がりました。
商品名変更と全国展開の過程
初期は「肝油ちくわ」などと呼ばれていましたが、親しみやすい名称として「ビタミンちくわ」に変更されました。
名称の変更とともに、家庭用パッケージ化や販路拡大が進み、全国に認知されていきました。
マルタツやスギヨといったメーカーが主要な製造元として知られるようになりました。
スギヨの商品開発秘話(竹輪→ビタミンちくわ)
スギヨは石川県の老舗水産メーカーで、練り製品の改良と開発に力を入れてきました。
既存のちくわをベースに、栄養価を高める工夫や食感の改良を行い、現在のビタミンちくわへと進化させました。
企業としての革新姿勢が、長寿ブランドを維持する鍵となっています。
年表で見る主要な節目(リニューアルなど)
- 1952年:ビタミンちくわ誕生
- 1970年代:学校給食での採用拡大
- 1990年代:キャラクターや包装デザインの刷新
- 2010年代:栄養機能食品としての位置付け明確化
- 近年:リニューアルでボリューム・食感が進化
スギヨ製「ビタミンちくわ」の特徴と進化
現在流通しているビタミンちくわの大半は、スギヨによって製造されています。
スギヨは味・栄養・パッケージデザインなど多角的な進化を重ね、定番商品としての地位を確立しています。
栄養機能食品としての認可内容
スギヨのビタミンちくわは、栄養機能食品として認可を受けています。
ビタミンAやビタミンDを含有し、不足しがちな栄養素を手軽に補える点が特徴です。
おやつやお弁当、おつまみにも最適なバランス食品として支持されています。
リニューアルによるボリュームアップの特徴
最近のリニューアルでは、内容量と太さがアップし、より満足感のある食べ応えになりました。
見た目も白く、きめ細かい断面で、料理にも合わせやすい仕様になっています。
“お得感”や“食べ応え”を重視する現代のニーズに合わせた改良が施されています。
食感・味・調理適性
スギヨ製ビタミンちくわは、ふんわり柔らかく、それでいてしっかりとした歯ごたえがあります。
そのまま食べても美味しく、火を通すと旨みが増す特徴があります。
煮物、焼き物、揚げ物といった多彩な調理法に適しているのも魅力のひとつです。
キャラクター戦略(ビタちくワンなど)
スギヨは、「ビタちくワン」という公式キャラクターを展開しています。
パッケージに登場するこのキャラは子どもや家庭向けに親しみやすさを提供し、販売促進に一役買っています。
地域イベントやSNSを通じたプロモーションも積極的に展開しています。
製造元・企業としての取り組み
スギヨは、環境対応型工場での製造や、地元食文化の保護にも取り組んでいます。
練り製品を核とした地域貢献や、食育活動なども評価されています。
ただ商品を作るだけでなく、社会との関係づくりも大切にする企業姿勢がうかがえます。
長野県とビタミンちくわの密接な関係
内陸県である長野県において、なぜビタミンちくわがここまで根付いたのか?
その背景には、歴史的事情と地域の食文化が深く関係しています。
海のない長野県で重宝された理由
長野県は海に面していないため、新鮮な魚介類の入手が難しい地域です。
その代替として、保存性の高い練り製品が重宝されてきました。
中でも栄養を補えるビタミンちくわは、家庭でも学校でも幅広く利用されてきました。
地元の学校給食(ビタちくカレー)とのつながり
長野県の学校給食では、「ビタミンちくわカレー」が定番メニューとして登場します。
スライスしたちくわを具材に入れることで、たんぱく質とビタミンを一緒に摂取できます。
このメニューを通じて、子どもたちにとっても“ビタちく”はなじみの味となっています。
黒部ダム関係者との歴史エピソード
ビタミンちくわは、黒部ダムの建設労働者たちにも広く支持された食品でした。
過酷な労働環境の中で、手軽に栄養を摂れる食材として採用されていたといわれています。
このエピソードは、ちくわが信州に根付いたきっかけのひとつともされています。
消費量が長野に偏っている実績
全国的に見ると、ビタミンちくわの出荷量の約70%が長野県向けといわれています。
この偏りは、長年の食文化の積み重ねが現在でも続いている証拠です。
スーパーやコンビニでも常時販売されており、日常食として定着しています。
地元イベント・食育活動とPR展開
長野県内では、「ビタミンちくわの日」や「ちくわまつり」など地域イベントも開催されています。
また、食育の一環として地元の小学生にビタミンちくわの栄養価や調理法を教える活動も行われています。
こうした取り組みが、地域と商品の結びつきをより強固にしています。
ビタミンちくわを使ったおすすめレシピと食べ方
ビタミンちくわは、そのままでも、調理しても美味しく楽しめる万能食材です。
日常のおかずからお弁当、おつまみまで、活用方法は多彩です。
定番:おでん・煮物・磯辺揚げ
おでんに入れると、スープを吸ったちくわの旨味が広がります。
煮物では野菜との相性も良く、手軽にボリュームアップできます。
磯辺揚げにすれば、外はサクッと中はふんわり、食感のコントラストが楽しい一品に。
地元流:ビタミンちくわカレー
長野県の給食でもおなじみ、ビタミンちくわカレーは子どもから大人まで人気です。
輪切りのちくわを具として加えるだけで、いつものカレーが栄養豊かに。
肉や魚が苦手な子どもにもぴったりのたんぱく源です。
アレンジ:チーズや野菜詰め、創作料理
ちくわの中にチーズやきゅうりを詰める簡単おつまみは定番中の定番です。
炒め物やサラダに加えるだけで、料理にコクとアクセントが生まれます。
創作料理としても、巻き寿司の具やグラタンの具材として使え、アレンジ自在です。